出版をする際、賢い経営者は目的を1つに絞ります。
が、愚かな経営者は目的をいくつも盛り込もうとして失敗します。
書籍出版によって実現したい目的はいくつかあります。
例えば、マーケティング、セールス(クロージング)、ブランディング、採用、人材教育など。
重複することは若干ありますが、基本的には書籍出版の「目的」は1つに絞った方がうまくいきやすいのです。
これは営業の基本でもあります。
例えば、信頼関係の全くない初めて出会った人に「3,000万円の家を今すぐ買いませんか?」と営業して買ってもらえるでしょうか?
優秀な営業マンほど、いきなり売り込みません。
まずは、「信頼関係を構築する」という目的を優先するはずです。
信頼関係を構築できた段階で、商品の良さを徐々に啓蒙していき、購入や契約につなげていきます。
これはあらゆる商売で同じことが言えます。
それと同じで、書籍出版でも目的はいくつも盛り込まない方がいいのです。
例えば、「マーケティング目的で出版する」と決めたとしましょう。
マーケティング目的の場合は、どちらかというと「知らない人」に知ってもらうことが目的です。
あなたの会社や商品を知らない、あるいは業界のことすらも知らない人に、存在を知ってもらうことが目的になります。
「見込み客の開拓」あるいは「市場の拡大」と言い換えても良いでしょう。
となると、書くべき内容は、「驚き」や「インパクト」、「ギャップ」などを駆使する必要があります。
「もしドラ」をご存知ですか?
マーケティング目的でうまくいった大成功本です。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら (岩崎夏海著、新潮文庫) 』
もしドラはまさに「驚き」と「ギャップ」によって、「マーケティング目的」を果たした有名な書です。
内容は?
高校野球の女子高生マネージャーがドラッカーを読んだらどうなるか?といった小説。
通常は「ドラッカー本」といえば、ごつくて、分厚くて、大変読みづらいものでした。
が、「小説」にして、「女子高生」の「学園もの」にすることで、ずいぶんと柔らかくて、とっつきやすい内容になったのです。
これによって、ふだん「ドラッカー」などを読まない層に手に取ってもらうことに成功しました。
まさしく「マーケティング目的」を果たしたのです。
結果として、本家本元のごっつい「ドラッカー本」も売れたそうです。
このように、目的は分けた方が、経営者による出版はうまくいきます。
あなたの出版の目的は何でしょうか?
明確に「●●目的です」と言い切れますか?